
『ワン・バトル・アフター・アナザー』レビュー|最も“観やすい”PTA映画
娘を救うというシンプルな物語を軸に、PTAらしいユーモアと熱量が炸裂。 162分という長尺を忘れさせるテンポと豪華キャストの名演が光る、家族の物語としても強く心に残る快作。
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- 作成日時:
- 2026/01/24 13:41
ワン・バトル・アフター・アナザー
ポール・トーマス・アンダーソン監督作の中で、個人的ベストは『マグノリア』。 一方で、ここ10年の『インヒアレント・ヴァイス』と『リコリス・ピザ』は未見のまま。 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』や『ザ・マスター』以降、少し難解なイメージが先行して、正直なところPTA監督から距離を置いていた。 そんな中で本作『ワン・バトル・アフター・アナザー』は、前評判がやたらと良い。 「これは久々に“来る”やつかも」と期待しながら劇場へ。 結果―― 162分という長尺をまったく感じさせない、「待ってました!」と言いたくなるPTA映画だった。 物語の軸は「娘を助ける」という非常にシンプルなもの。 PTA作品の中でもかなり分かりやすい部類で、ちゃんとエンタメとして引き込んでくる。 それでいて、彼らしいクセとユーモアは健在。下ネタもFワードも遠慮なしで、妙に懐かしい気分にさせられた(笑)。 そして何より、キャストが全員キラキラしている。 特にメインの親子3人が素晴らしい。 父・ボブを演じるレオナルド・ディカプリオは、焦ってテンパる姿がやっぱり唯一無二。 父親役は新鮮だけど、ダメ親感の中にちゃんと愛情があって、思わず応援したくなるキャラクターだった。 母・ペルフィデイア役のテヤナ・テイラーは、情熱むき出しの演技で作品を力強く牽引。 あれは間違いなく助演女優賞クラス。 娘・ウィラ役のチェイス・インフィニティも最高。 彼女の放つエネルギーがとにかく眩しくて、「これはブレイクするな」と確信させる存在感だった。 脇役陣も抜かりない。 センセイ役のベニチオ・デル・トロは、文字通り“頼れるセンセイ”で、彼の「礼」は思わず真似したくなるほど印象的。 ショーン・ペン演じるロックジョーは、キャリア十分の大ベテランが全力でクズを演じきっていて、その更新っぷりに唸らされた。 他にも、ウィラの同級生たちや、暗躍する「人種にこだわる」連中、体制側で尋問を続けるあのオジサンなど、記憶に残るキャラクターがとにかく多い。 162分を忘れさせるテンポと熱量。 政治的な要素を含みつつも、最終的には「家族の物語」として強く心に残る。 ポール・トーマス・アンダーソンらしさと、新しさが見事に共存した、見応え十分の一本だった。
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