
王道なのに新しい、人形ホラー『ドールハウス』の怖さ
映画『ドールハウス』は、日本のホラーらしい静かな不気味さと、海外ホラーのような物理的にガンガン来るドタバタ感がうまく混ざり合った、新しいタイプのドールホラーでした。 舞台は主に家族と家です。リビングや廊下、部屋など、ごく普通の一軒家のシーンが何度も出てきます。この日常のすぐ隣にある怖さが、とにかくじわじわ来る映画でした。 特に印象に残っているのが、タイトルが出るまでの流れです。 主人公の娘が家で近所の友達とかくれんぼをしていて、長澤まさみさん演じる主人公が洗濯物を回しながら家事をしたり、買い物に行ったりしている。気づくと夕方まで娘が見つからず、家中探し回り、最終的に回し終わった洗濯機の中から見つかる。その瞬間に叫び声が響いてタイトルが出るのですが、ここはさすがに絶望感が強すぎて、序盤から一気にやられました。開始早々現実味のある恐怖に襲われます。 この出来事がきっかけで、主人公は洗濯機を使えなくなってしまいます。娘を失った悲しみの中で、明らかにホラーな人形を娘の代わりのように大切に世話しながら生活するようになります。数年後、新たに子どもが生まれ、人形は放置されていきますが、その人形を子どもが押し入れから引っ張り出してきたあたりから、一気にホラー全開になります。 また、怖さを全部一気に見せるわけではなく、画角や見せ方で少しずつ不安を積み重ねていくのが上手かったです。中でも、主人公が一人で家にいる時に、娘(?)が帰ってくるシーンでは、「お昼で明るいけど、誰もいない電気のついてない静かな家」色のフィルターがかかっている感じで家が舞台のホラーならではの表現だと思いました。 王道ホラー要素は多いのですが、組み合わせ方が良くて、現代的なホラーを感じました。自分が一番大切にしているものと、敵の存在が入れ替わってしまうような感覚になる演出は、現実そのものを疑わせてくる演出になっていて、ここもかなり怖かったです。 このドールホラーは、説明されすぎない不安や、何が起きているのか分かりきらない感じといったジャパニーズホラーらしさがありつつ、テンポや展開には海外ホラーっぽい勢いもあります。そのおかげで、最後まで怖がりながら観られるのも良かったです。人形という存在が持つ、置いてあるだけでちょっと怖い、見ていないときに動きそうなあの感じが、家族の日常に自然に入り込んでくるのが本当に嫌で、観ている間ずっと落ち着きませんでした笑。 舞台が家族だからこそ、観終わったあとも、自分の家でふとした瞬間に思い出してしまう、日常に入り込んでくる嫌なタイプの怖さがあります笑。夜に洗濯機を見るたびに、ちょっと思い出してしまうのも地味に嫌です。海外ホラーに見慣れている人ほど、このほどよく抑えられたジャパニーズホラー感が、逆に効いてくる作品だと思いました。 ハッピーなコメディー作品を多く手がけてきた矢口史靖監督のホラーという点も印象的でした。シュールとホラーは本当に紙一重なんだなと感じさせられて、ホラー好きで展開がある程度読めていたとしても、久しぶりにちゃんと怖いと思えた映画でした。
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- 作成日時:
- 2026/01/28 17:51
- 更新日時:
- 2026/01/28 17:55
ドールハウス
インチキ霊媒師みたいな田中哲司さんがいい味を出していて、彼の、得体の知れない人形について知っている人という安心感と、そこで離脱するの?!という一瞬の面白さで息継ぎできるような映画でした。
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