おススメ作品として挙げたいのがまず、「見習い社長の営業日誌」シリーズ。名作映画『猟奇的な彼女』（2001年）の振り回される彼氏、 大ヒット映画『過速スキャンダル』（2008年）のダメお父さんから、近年はドラマ『警察授業』（2021年）のジニョン役、『ブレインズ ～頭脳共助～』（2023年）のジョン・ヨンファらアイドル出身俳優のバディ役として作品をヒットに導く名俳優チャ・テヒョンと、歴史的名作ドラマ『バリでの出来事』（2004年）から正統派ラブロマンス『その冬、風が吹く』（2013年）、そして近作は話題のドラマ『ムービング』（2023年）と、高視聴率俳優として知られるチョ・インソンが、雪降るのどかな山村の小さな個人商店で、店主の10日間の休暇中に見習い社長として働くという企画番組。 田舎の人々の生活を支えるよろず屋は、早朝から終バスの時間まで客足が絶えない。料理の得意なチョ・インソンは、イートインコーナーの小さなキッチンで友人の漁師から仕入れたカニを入れたラーメンをメニューに加えると、昼は近所で働く人々、夜は飲みにやってくるお父さんたちの人気メニューに。段ボールの切れ端に書かれた値段表に四苦八苦しながらも、常連客やアルバイトにやってきた俳優のパク･ボヨン、ナム･ジュヒョク、ユン・シユン、チョ・ボアらに助けられながら、お客さんたちとの信頼関係を築いていく姿になんとも癒される。

少なからず自信を付けた2人は、続編『見習い社長の営業日誌2』に挑戦。現地に着いて前作の個人商店の10倍はあろうかという大型スーパーに仰天したが、「店を始めてから家族旅行をしたことがなかった」という経営者一家に代わり、しっかりと留守を預かることを約束する。チョ・インソンは新シーズンでも軽食コーナーを担当し、前作のカニラーメンに加えて、新メニューのオムク（韓国おでん）うどんを開発。終盤には明太子パスタも投入し、パワーアップをはかった。 新シーズンの注目ポイントは、なんといってもゲスト陣の豪華さだろう。精肉コーナーまである大型店とあり、チャ・テヒョン社長はアルバイトとして常に2～3名の有名俳優を召喚。イム・ジュファン、イ・グァンス、キム・ウビンら韓国ドラマでお馴染みのイケメン俳優に加え、今回は、キム・ヘスとハン・ヒョジュという大物女優までもが参戦。 特に国民的トップ女優キム・ヘスの登場には、「会長がバイトにやって来る感じ」とチャ・テヒョン社長も緊張しながら迎え入れる。当のキム・ヘスは、16歳から女優業一筋で「アルバイトをしてみたかった！」と店の仕事に熱心に取り組み、やってきたお客さんにも気軽に接してファンミーティング状態に。そこにドラマ『トンイ』（2010年）で日本でも人気のハン・ヒョジュが合流。地元の特産品のナシを使ったデザートを考案し、軽食コーナーに彩を添えた。大スターの登場に、地元客も大喜び。社長もアルバイトも、地元の人々との世間話に花を咲かせたが、食事にやってきた精肉卸店一家の苦労話をきいて、キム・ヘスが奥さんを抱きしめて労をねぎらう感動的なシーンも見られるなど、新シーズンでは地元の人々とのエピソードが大幅にフィーチャーされ、スターがより身近に感じられる構成となっている。

そしてもう1本のおススメが、『ユンステイ』。2020年に映画『ミナリ』で韓国人俳優として初めてアカデミー賞助演女優賞を受賞したユン・ヨジョンが社長兼料理長として、海外で韓国料理店「ユン食堂」を経営するシリーズ作品の第3弾。 コロナで海外ロケができない期間に、韓国全羅南道の伝統家屋韓屋で、外国人に美味しい韓国料理と宿泊でおもてなしをする旅館企画となった。アカデミー賞でも流暢な英語のスピーチが評判になったユン・ヨジョンの英語力や、彼女の作る美味しそうな韓国家庭料理はこの作品の見どころに。ほかにも、副社長のイ・ソジン、 室長・料理長のチョン・ユミ、課長・副料理長のパク・ソジュン、 アルバイト・雑用係のチェ・ウシクと、韓国ドラマ主演級の豪華な従業員たちが奮闘する。 普段はまわりの人たちが何でもやってくれる芸能人たちが、朝から晩まで悪戦苦闘しながら店の仕事を覚えていく姿は微笑ましい限り。豪華ゲスト陣がバイトとして登場するのも必見ポイントだ。スターだと思っていた人が実はバイトを掛け持ちしていた苦労人で、その経験を活かしテキパキ店を仕切る意外な素顔も見られる。ハイブランドでレッドカーペットに立つ有名俳優たちがエプロン姿できさくに村の人々と交流を深めていったり、寝食を共にしながら従業員同士のチームワークを作り上げていく過程も感動的。韓国の田舎の生活を垣間見ながら、ドラマで見るスターとは異なる、人間的な素顔のギャップが感じられる韓国のリアリティ番組で、ほっこりとした気持ちを味わってほしい。