
『センチメンタル・バリュー』感想|「家」と「家族」を描く傑作ドラマ
映画『センチメンタル・バリュー』(2025年)は、ヨアキム・トリアー監督が描く家族ドラマの傑作。 ステラン・スカルスガルドの圧巻の演技を軸に、姉妹やハリウッド女優との関係性が繊細に絡み合う。 親子・姉妹・夫婦の葛藤に加え、映画論や歴史までも内包した重層的な物語は、観る者それぞれの心に刺さる一本。
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- 作成日時:
- 2026/03/09 22:20
センチメンタル・バリュー
ヨアキム・トリアー監督作品を初鑑賞。率直に言って、ステラン・スカルスガルドの“語らない演技”に圧倒された。セリフがなくても、あの表情だけで感情の揺れや後悔、誇りまでもが伝わってくる。 彼が演じるのは、著名な映画監督であり父親でもある男。姉ノーラ(レナーテ・レインスヴェ)、妹アグネス(インガ・イブスドッテル・リッレオース)、そしてハリウッド女優レイチェル(エル・ファニング)。この4人の関係性の描き方がとにかく絶妙。 誰か一人が突出するのではなく、ある人物の見せ場が他の誰かの感情を揺らし、物語を前に進めていく。脚本の完成度の高さを感じずにはいられない。4人全員がアカデミー賞にノミネートされているというのも納得。 そして忘れてはならない、もうひとりの“主人公”があの「家」。物語の導入や随所に差し込まれる歴史の描写が、この家に積み重なった時間と記憶を静かに物語る。単なる舞台装置ではなく、感情を吸い込み、吐き出す存在として機能しているのが印象的だった。 親子の確執、姉妹の距離感、夫婦のすれ違い、さらには映画論や演技論、そして歴史。語られるテーマは多いのに、不思議と散らからない。どこか一つは必ず心に引っかかるポイントがあるはずだ。 観終わったあと、自然とヨアキム・トリアー監督の『わたしは最悪』も観たくなる。そんな余韻を残す一本だった。
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