
技術の映画から“物語の映画”へ──『トロン:アレス』がシリーズを完成させた
『トロン:アレス』は、シリーズの立ち位置として非常に興味深い作品だった。1作目の「トロン」はCG映画の黎明期を象徴する挑戦的な作品であり、2作目の「トロン:レガシー」は進化した映像技術や3D体験を前面に押し出した作品だった。では3作目は何を見せるのかと思っていたら、「技術の話はもういいから、ちゃんと面白い映画を作りました」と言わんばかりの方向で攻めてきたのが印象的だった。 もちろん、技術的なモチーフが消えたわけではない。AIや3Dプリンターといった現代的なテーマがしっかり組み込まれている。ただ、それらを“見せたい技術”としてではなく、“物語の装置”として使っているのが今回のポイントだと思う。だからこそ作品全体が非常に見やすく、純粋にエンタメとして楽しめる構造になっている。 物語もシンプルでわかりやすい。正義と悪の構図が整理されていて、難解さに寄らない。そのうえで、デジタル世界と現実世界の対比がしっかり作られているため、画面の切り替わりにも意味が生まれる。ビジュアルのメリハリとストーリーの理解しやすさが噛み合っていて、テンポも良い。複雑な設定を詰め込むのではなく、シンプルに整理した判断が功を奏している印象だ。 シリーズファンとして嬉しいのは、過去作のアイコンがしっかり登場する点だ。特にライトサイクル、いわゆる“あのバイク”が現実世界で走るシーンは、純粋にワクワクする。デジタル世界の象徴だった存在が現実に出てくるというだけで、シリーズとしての意味が一気に広がる。「わー楽しい!」と素直に思わせてくれる瞬間がきちんと用意されている。 また、「永続コード」というキーワードの扱いも上手い。SF的な概念でありながら、物語のテーマとしっかり結びついている。単なる設定ワードではなく、キャラクターや展開に意味を持たせる装置として機能しているのが良かった。このあたりは、技術テーマを物語に落とし込むバランス感覚の良さを感じる。 キャスティングも印象的だった。特にグレタ・リーの存在感が面白い。いわゆる典型的なSFヒロインではなく、どこか異彩な現実感を持った空気を画面に持ち込んでいる。その自然さとSF世界のビジュアルがぶつかることで、独特の化学反応が生まれていた。派手ではないが、じわっと印象に残るタイプの魅力があり、作品のトーンにも合っている。 全体として『トロン:アレス』は、シリーズの集大成のような作品に感じた。技術を見せる映画だった『トロン』が、3作目にして「面白い物語を見せる映画」として完成したような印象がある。ビジュアルの魅力はそのままに、ストーリーの楽しさをしっかり前面に出してきたことで、シリーズとしての方向性がようやく固まったとも言える。 派手な革新というより、「ちゃんと面白い」という当たり前の強さを持った作品。3作目にして、シリーズがようやく完成した──そんな感覚を持たせてくれる一本だった。
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- 作成日時:
- 2026/04/08 18:23
トロン:アレス
1作目はCG映画としての始まりの頃の映画、2作目は技術が進歩した部分を見せた3D映画ときて、3作目はというと、『なんかそういうの良いからおもしろい映画作りました』と攻めてこられた。AIと3Dプリンターという最近のトレンドを題材にして楽しい作品持ってこられた。でもお話はシンプルで、正義と悪を綺麗に扱っていて、29分という制約というわかりやすさと、デジタル世界と現実世界の違いのメリハリなどなど、内容的にも視覚的にもとても見やすくて楽しい作品。そして過去作に出てきたお決まりのバイクなどが登場するし、それが現実世界で走るのだ。わー楽しい。「永続コード」というキーワードがまた上手い扱いがされる。ビジュアルもそうだが、お話がおもしろいのよ。グレタ・リーというキャスティングもおもしろかったよね。なんとも言えない魅力のある女優さんで、SFと変わった化学反応が起きていた。3作目にして成ったシリーズ。おもしろかった。
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