
“名前のつかない関係”が残すもの──『君の膵臓をたべたい』の純度
『君の膵臓をたべたい』は、この10年〜20年の邦画の中でも、強いインパクトを残す一本だと思う。観終わったあとに残る余韻の質が高く、「これは特別だ」と感じさせる力がある。 題材だけを見れば、いわゆる難病ものの“泣かせる映画”だ。しかし本作はそこに留まらない。泣かせること自体を目的にせず、そこに至るまでの過程――関係の築き方、距離の取り方、言葉の選び方――を丁寧に積み上げていく。その積み重ねがあるからこそ、感情が自然に動く。 主演の浜辺美波の存在感は圧倒的だ。声、仕草、表情、そのすべてが魅力として画面に現れる。いわゆる“ヒロイン性”を超えて、作品の空気そのものを作っている。観ているあいだ、彼女に惹きつけられ続ける感覚がある。 対する北村匠海も素晴らしい。内向的で閉じた人物像を、過剰にならず自然に演じている。このバランスがあるからこそ、二人の関係性が成立する。 この映画の核は、“名前のつかない関係”だ。友だちでも恋人でもない。しかし確かに特別な存在。この曖昧さを曖昧なまま成立させているのが、とても良い。無理にラベルを貼らないことで、逆に関係の純度が高まっている。 ターニングポイントとなる場面以降の変化も印象的だ。そこからの感情の流れが自然で、観る側も一緒に揺さぶられる。そしてラスト。よくある“お涙頂戴”の型に収まらない終わり方が、個人的には非常に好印象だった。安易に感動へ着地しない分、余韻が深く残る。 脇役も登場するが、観終わったあとに残るのはほぼ主役の二人だけ。それだけ二人の描写に集中しているということだし、その選択が成功している。 『君の膵臓をたべたい』は、健全で、まっすぐで、そしてどこか切ない。嫌味もなく、過剰な演出もなく、ただ人と人との関係を丁寧に描いている。その純度の高さが、この作品の価値だと思う。 静かに心を揺さぶられ、気づけば涙が出ている。そんな“良い映画体験”を、しっかりと味わわせてくれる一本だった。
たくさんの「いいね」ありがとう!
163
- 作成日時:
- 2026/05/01 23:39
君の膵臓をたべたい(2017)
この10年20年の邦画で、この映画ほど素敵な作品はないかもしれない。そう思えるくらいのインパクトがこの映画にはある。これを作った人たちは、実際にこういう経験があったんじゃないかと思えるくらいに、見事に作品として作り上げられていた。簡単に言っちゃうと、難病を扱ったお涙頂戴映画として話は進む。しかしそこらに転がっている単なるお涙頂戴ではない。泣かせるまでの過程がとても素敵で、主役の浜辺美波にトキメキっぱなしなのだ。声も仕草も表情も何もかもに惹かれる。相手役の北村匠海も上手い。ここまで健全な恋愛映画、なかなかない。何もイヤミもなくイヤラシさもなく健全を貫く。しかし二人は友だちでも付き合ってる仲でもない。ほんと、彼女の表現する仲なのだ。ターニングポイントとなる場面からの変化がとても良い。ラストもよくあるお涙頂戴なタイプの展開でないのも個人的に良かったのだと思う。途中脇役で何人かキャラクターは出てくるが、見終わった後の印象は主役二人だけ。それほどまでに二人の描写にこだわってるんだと思う。素敵な作品だ。泣きまくった。
あなたも作品の評価を入力してみませんか?
君の膵臓をたべたい(2017)の★評価を入力する



