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実話ならではのビターな余韻が味わえる怖い映画

映画が与えてくれる恐怖には、フィクションならではの想像力が生み出すものと、現実に基づいたリアルさから来るものの2種類があります。 特に、実在の事件を基にした映画は「事実は小説よりも奇なり」という言葉を体現するような衝撃とリアリティを持ち合わせています。これらの作品は、映画というフィルターを通してもなお、観る者に深い爪痕を刻みつけ、時には現実そのものへの問いを投げかけます。
 今回は、そんな実在の事件や殺人鬼を題材としたタイトルをピックアップしてみました。現実が時にどれほど残酷で不条理なのか、その一端を覗いてみましょう。

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  • 作成日時:
    2025/01/27 17:22

ウトヤ島、7月22日

制作年: 
2018年
ウトヤ島、7月22日

2011年7月22日、ノルウェーのウトヤ島で発生した無差別銃乱射事件を題材とした作品です。島で集会中の若者69名が命を落とすという痛ましい事件で、同日に行われた政府庁舎爆破事件と併せて「ノルウェー連続テロ事件」と呼ばれ、戦後ノルウェー史上最悪の惨劇とされています。 本作の特徴は、生存者たちの証言を基に事件発生から収束までを驚異のワンカットで描き切った点です。 犯人の視点を完全に排除し、逃げ惑う人々の混乱と恐怖をリアルタイムで映し出します。最初の銃声が響いた瞬間から最後の静寂まで続く圧倒的な緊張感によって、観る者に事件を追体験させます。 カメラが追うのは逃げ場のない島で恐怖に怯える若者たちだけ。自然にフェードインされる遺体の冷たさや、息の詰まる沈黙はトラウマ級と言えるでしょう。 この悪夢的な映像体験を通じて、無差別殺人の恐怖だけでなく、その背景にある社会問題にも目を向けるきっかけになるかもしれません。鑑賞後、是非この悲劇的な事件の顛末を調べてみてください。きっと様々な思いが胸に押し寄せるはずです。

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ガール・イン・ザ・ベースメント

制作年: 
2021年
ガール・イン・ザ・ベースメント

1984年から2008年にかけて、実の娘を地下室に監禁し続けた「フリッツル事件」を題材とした作品。この事件は『ルーム(2015)』の原作小説「部屋(エマ・ドナヒュー著)」にインスピレーションを与えたことでも注目を集めました。 被害者であるエリーザベト・フリッツルは、24年間にわたり父親によって地下室に監禁され、性的虐待の末に7人の子供を出産(死産含む)させられるという壮絶な経験をしました。この事件はもう概要だけでも信じ難いものなのですが、劇中ではその“鬼畜の所業”を垣間見ることが出来ます。 人の親とは思えぬ振る舞い、異常な支配欲など常軌を逸した行動の数々。直接的な過激描写は控えめながら、それを映さずとも十分な不快感と恐怖を観る者に突きつけてきます。こうした視聴者の想像力に委ねる余白が、逆に事件の残酷さや恐ろしさをより一層際立たせているように思えます。 また、物語は単なる監禁スリラーにとどまらず、地下室での生活が数十年と経過していく中で母親となるエリーザベトの苦悩や、子供たちを守る姿に胸を締め付けられます。 地下室という閉ざされた空間で奪われた彼女たちの人生に思いを馳せながら、事件が生んだ鬱屈とした余韻に浸ってみてください。

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屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ

制作年: 
2019年
屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ

1970年代のドイツ。売春婦をターゲットに連続殺人を繰り返した実在の殺人鬼フリッツ・ホンカの凶行を、腐臭漂う生々しいタッチで描いた衝撃作。 本作の主人公であるフリッツ・ホンカは低身長、低所得、不潔、ブサイク、そして社会的に孤立した人物で、さらに性欲に振り回されるという情けない一面を持っています。そんな彼が凶行の矛先に選んだのは、さらに弱い立場にある「高齢の売春婦」たちでした。支配欲と暴力性がむき出しとなった彼の行動には、観る者を苛立たせ、不快感を植え付ける異常性が漂っています。 劇中のロケーションも優れており、薄汚れた場末のバーや腐臭漂うホンカの住処など、人間の消耗を象徴する空間は気が滅入るような負のオーラを放っています。まるでこの世界そのものが愛を知らず、荒んでいるかのような息詰まった雰囲気は不快ながら称賛に値するものです。 ルサンチマンに歪められた人間が放つ暴力、誰にも愛されないという悲劇。本作は単なる犯罪の再現に留まらず、その背後にある社会的要因や孤立した人間の歪みを見事に描いています。 厭な余韻の中で、「現代のホンカはインターネットの向こう側に潜んでいるのではないか?」という戦慄が胸を過るのではないでしょうか。

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