
“リメイクの勝利”を叩きつけた──『ディパーテッド』の重厚な渋さ
『ディパーテッド』、これはリメイク映画としてかなりの大傑作だと思う。もちろん原作である「インファナル・アフェア」も最高におもしろい。しかし、本作は単なる“ハリウッド版”ではなく、完全に別の作品として成立している。 同じ題材なのに、作り手が変わるとここまで空気が違うのかと驚かされる。そこに、マーティン・スコセッシという監督の力を感じる。 ハリウッド大作ではあるけれど、“潤沢予算で派手にしました”という方向ではない。むしろ渋い。全体に漂う空気が重厚で、荒々しく、アメリカの犯罪社会へしっかり変換されている。このローカライズのうまさが素晴らしい。 キャラクター整理も見事だ。香港版は“豪華キャストの競演”としての楽しさがあるが、『ディパーテッド』はもっと無駄がない。役割を厳選し、映画としてのまとまりを優先している感じがある。その結果、作品全体が非常に締まっている。 そして何より、レオナルド・ディカプリオが本当に素晴らしい。追い詰められ、壊れかけていく潜入捜査官の精神状態を、ものすごい熱量で演じている。あの不安定さが、映画全体の緊張感を引っ張っている。 もちろん、マット・デイモンも良い。こちらは逆に、表向きは順調に見えるが内側では崩れていく。この対比が効いている。 さらにジャック・ニコルソン。もう存在感が凄い。危険で、下品で、何をしでかすかわからない。この“狂気”がアメリカ版の色を決定づけている。 全体としてFワード連発のガラ悪い映画ではある。でも、その粗暴さの奥に、しっかりとした人間ドラマがあるから見応えがある。単なるギャング映画では終わらない。 オリジナル版と比べると、警部の最期のインパクトは香港版の勝利かなとは思う。でも、それ以外は本当に互角。むしろ“別方向の完成形”として並び立っている。 音楽の使い方も抜群に良い。ロックを中心にした選曲が、作品の泥臭さとカッコよさをさらに強くしている。 リメイク制作が発表された当時、自分も「どうなんだろう」と半信半疑だった。でも、完成した作品は“ハリウッドの実力”を見せつけるには十分すぎるクオリティだった。 『ディパーテッド』は、単なる翻案ではない。題材を完全に咀嚼し、アメリカ映画として再構築した重厚な犯罪ドラマだと思う。何度観ても、この渋さに引き込まれてしまう。まさに大傑作。
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- 作成日時:
- 2026/05/23 23:02
ディパーテッド
香港オリジナル版の方も傑作だが、こちらもかなりの大傑作で何度も見たくなるのよ。インファナル・アフェアを原作とした、別のものって感じでマーティン・スコセッシ御大よさすがって感じ。ハリウッドの潤沢予算って感じでもない。同じ題材でも作り手が変わるとこうも雰囲気が違うとはおもしろい。上手くアメリカを舞台に変換されていて、オリジナルからのキャラの厳選と変更も秀逸。香港版は豪華キャストな意図が感じるけど、こちら(キャストは豪華ではあるのだけど)には作品を渋く成立させるために無駄のない感じ。ディカプリオがとてもとても良い。Fワード連発なガラの悪い映画だけど、重厚なドラマで楽しめる。警部の最期シーンのインパクトはオリジナルが勝利だけど、それ以外はどちらも負けず劣らず。音楽もいいよね。リメイクが作られると知った当時は期待はしてなかったが、このクオリティはハリウッドの実力を示すにも十分だった。
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