契約結婚とは、一般的には結婚生活に関する決め事をして契約を結んだ上で結婚するというものだが、ドラマでは恋愛関係にないカップルが互いの利害が一致して結婚する展開が多い。『華麗なる契約結婚』の大筋もそうだ。 主人公の仕事一筋の若手女社長ルー・ファンニンを『大宋少年志～secret mission～』『愛すべき私たちへ～beatutiful days～』などのチョウ・ユートン、イケメンで温厚、家族思いで家事もそつなくこなしてしまうパーフェクトな外科医リン・ルイを、時代劇『山河令』で日本でも大ブレイクしたゴン・ジュンが演じる。 父親が会長を務める鹿鳴(ルーミン)グループの社長であるファンニン。自身の夢であるインテリアブランド創設に向けて準備を進めていたが、会社の幹部たちからは支持を得られていない。そんなとき、父親から「1年以内に結婚・出産したら支持をする」と言われる。がんばっているのに、幹部の一人に「女だから視野が狭く考えも甘い」と言われる場面があり、女性として働くことの壁にぶつかっているファンニン。「“女だから”なんなの？　結婚と家庭に女を縛らないで」とひとりで言う姿も胸に迫る。 あまりのムチャブリに反発を抱くものの、夢のため従うことに。その結婚相手として狙いを定めたのがリン・ルイ。偶然出会ったリン・ルイの整った顔立ちや仕事ぶりに好感を持っていたところ、弟が引き出した大金をリン・ルイの叔母に貸したことが判明。叔母に泣きつかれて代わりに返済することになったリン・ルイに、ファンニンは契約結婚を持ち掛けた。 リン・ルイにとってもまたムチャブリな提案。もちろん突っぱねるのだが、ある日、胃痛に悩むファンニンを送り届けたとき、部屋に飾ってあった写真を見て、提案を受け入れることにした。 そんな2人に生じる、“契約”という条件があるからこその気持ちのすれ違い。この行動の真意は…と疑いが出てしまうのだ。その特殊な関係の中に、人を好きになるという気持ちが見え隠れする。 仕事はやり手だけれど、恋愛には不慣れなファンニン。愛情が通い合っていない契約結婚での新たな生活がスタートして、父からのもう一つの条件のためにアタフタしながら、始めから好印象を持っていたこともあって、リン・ルイの優しさにどんどん惹かれていく。一方、リン・ルイは、ファンニンの高飛車な面の裏にある一生懸命さや純真さを次第に知っていく。 本作では2人の秘密を絡めて深みのあるストーリーにしている。夢のために強く進むファンニンだが、実はその夢には隠された思いが。そして、写真のことは黙ったままのリン・ルイ。互いに秘めた思いを抱えながら距離が近づいていく2人の姿に、ヤキモキしたり、ドキドキしたり、キュンとしたり。 そうして、心がグッと近づいた2人に訪れるのは甘～い生活…なのだが、まだ波乱が待ち構えていた。 チョウ・ユートンはファンニンの勝気なところと、それゆえのかわいさを抜群のバランスで演じる。現代劇の『華麗なる契約結婚』と時代劇の『山河令』で、ゴン・ジュンの見た目はガラリと変わるも、甘いマスクにうっとりしてしまう。勝気なファンニンに困った顔しても、優しさあふれるキャラクターはぴったりだ。2人が見せる“契約”から始まる、かわいさと波乱に満ちたラブストーリーにいつの間にか引き込まれてしまうはずだ。