
交渉人VS交渉人──その発想だけで勝っている傑作サスペンス
『交渉人』は本当に最高におもしろいサスペンス映画だと思う。 自分の記憶では、この映画によって「交渉人」という職業や言葉が日本でも広く知られるようになった印象がある。もちろん映画好きなら知っていたかもしれないが、一般的な認知度を一気に押し上げた作品だったんじゃないだろうか。 そして何より、この映画はコンセプトの時点で勝っている。 人質交渉のプロが、人質を取って立てこもったらどうなるのか。 さらに、それを止めるために別の交渉人を呼んだらどうなるのか。 これだけで観たくなる。 だって絶対おもしろいじゃないか。 実際、その期待をまったく裏切らない。 主人公を演じるサミュエル・L・ジャクソンは、濡れ衣を着せられた敏腕交渉人。自らの無実を証明するため、あえて立てこもり事件を起こすという大胆な行動に出る。 ここに警察内部の腐敗や陰謀が絡んでくる。 無実の主人公。 腐敗した権力。 追い詰められた男の反撃。 映画ファンが好きな要素が全部入っている。 しかも脚本が実に丁寧だ。 余計なひねりを入れすぎない。 観客に伝えるべきことをしっかり伝えながら、サスペンスとしての緊張感を維持している。 その結果、とにかく見やすい。 そして対峙するもう一人の交渉人が、ケヴィン・スペイシー。 これがまた絶妙。 サミュエル・L・ジャクソンが感情を爆発させながら進んでいくタイプなら、ケヴィン・スペイシーは冷静沈着。 二人の演技の温度差がそのままドラマになっている。 この対比が本当におもしろい。 また、警察側の連中が「とにかく主人公を早く始末したい」という姿勢なのも良い。 もちろん劇中では真面目な話なのだが、観客目線だと少し滑稽に見えてくる。 「いやいや、そんなに焦るの怪しいだろ!」 とツッコミたくなる。 だから自然と観客は主人公側へ感情移入する。 そして、 「絶対こいつら痛い目に遭え!」 という気持ちになる(笑)。 この絶妙なストレスの掛け方が上手い。 観客をイライラさせるが、不快にはしない。 だから終盤のカタルシスが効いてくる。 そしてラスト。 これがまたスマートなのだ。 最近のサスペンス映画だと、どんどん複雑にして「どうだ驚いたか」とやりたがる作品も多い。 でも本作はそうではない。 最後までわかりやすい。 だからこそ気持ち良い。 観客が見たいものをちゃんと見せて終わる。 その潔さが素晴らしい。 『交渉人』は、アイデアの勝利であり、脚本の勝利であり、役者の勝利でもある。 交渉人同士の頭脳戦。 警察内部の陰謀。 無実を証明しようとする男の戦い。 それらを難解にせず、誰にでもわかる形でエンターテインメントへ落とし込んでいる。 作り手の狙いがしっかり伝わる映画は強い。 何度観てもおもしろい、90年代サスペンス映画の傑作である。
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- 作成日時:
- 2026/06/09 00:27
交渉人
マジで最高におもしろいサスペンス。自分の認識では、この映画で「交渉人」という言葉が日本に広まった印象(残念ながらエディ・マーフィの映画ではない)。人質交渉のプロが、人質を取って立てこもったら? それを交渉人と戦わせてみたら? というコンセプトがもうおもしろいもんね。そこに警察内部の腐敗と陰謀があり無実の罪を晴らす…というこれまた映画ファンなら大好きな要素が入ってくる。あとは丁寧にしっかり描けば大成功ということで、もうおもしろいのなんのって。警察側のサミュエル・L・ジャクソンを早く殺したい姿勢もなんだか滑稽なのが、ケヴィン・スペイシーとの対比でおもしろいし、見る側も「何だよコイツラ!絶対にコイツラは痛い目にあえ!」と程よいストレスが掛かる。そこからのラストの締め方がなかなかスマートなのもいいのよ。難解にしてないのが結果的に功を奏してる。わかりやすさ・作り手の狙いががちゃんと伝わってる良い映画。傑作。
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