• Rakuten PLAY

深夜の学校で見た黒い影

深夜の学校で見た黒い影

翔君と当時の親友だったB君は、地元の中学校に通う14歳の同級生だった。 2人は好奇心旺盛で、特にホラーやオカルトといった類の話が大好物だった。そんなある日、翔君が「深夜の学校に行ってみないか?」とB君を誘った。学校には「深夜に誰もいないはずの教室から足音が聞こえる」「旧校舎の渡り廊下で黒い影を見た」といういかにも小学生が好きそうな噂話が絶えなかった。 もちろん、当時の翔君もそういった噂が大好物で、怖いもの見たさと「深夜の学校」という響きに心を躍らせ、その真相を確かめることにした。 「本当に行くのかよ?噂だけじゃないのか?」 B君は少し不安そうだったが、翔君は「何ビビってんだよ(笑)。大丈夫だって。何かあったらすぐ帰ればいい」と笑いながら、夜の10時過ぎに学校へ向かった。 学校の正門は閉まっていたが、2人は学校裏の、少し塀が低くなっているところをよじ登り、簡単に敷地内に入ることができた。月明かりに照らされた校舎は昼間とはまるで別物のように静まり返り、不気味な雰囲気を漂わせていた。翔君は懐中電灯を片手に、B君と一緒に校舎の中へと足を踏み入れた。 廊下は薄暗く、昼間の賑やかさが嘘のように静かだった。教室の扉はほとんど閉まっており、窓から差し込む月明かりが床に影を落としている。 昼間には気にも留めないような壁の傷や落書きされた似顔絵、古びたポスターが、夜になるとどれも不気味に感じられた。特に、掲示板に貼られたポスターの人物の目が、暗闇の中でこちらをじっと見ているように思えた。 B君も同じことを思ったらしく、「なんか、これ嫌だな……」と小声で呟いた。 「気にするなよ。ただのポスターだろ。」 翔君は笑いながら言ったが、内心では少しだけ不安を感じ始めていた。 2階へ向かう階段を上がる途中、B君が「なんか変な感じしないか?」と翔君に聞いたが、翔君は「気のせいだろ」と軽く流した。 彼らはそんな会話を交えながらも、特に何も奇妙なことは起こらず、そのまま校舎を進んでいった。 気がつけば、2人はA校舎とB校舎をつなぐ最上階の渡り廊下に出ていた。渡り廊下はガラス張りで、月明かりが差し込んでいるが、夜の静けさが一層不気味さを際立たせていた。 「結局何も起こらなかったね」 「まあこんなもんでしょ」 彼らはそう言いながら渡り廊下を進もうとした瞬間、B君が「えっ」と小さく声を上げた。翔君が振り返ると、渡り廊下の反対側の壁際に黒い影のようなものが立っていた。人と同じくらいの大きさをしているが、顔や体の輪郭はぼやけており、それが何なのかはっきりと確認できなかった。影はじっと2人を見つめているように感じたが、目や表情は確認できない。 「……動いてる?」 B君が震える声で言うと、影はゆらゆらと動いているように見えた。足音は聞こえないが、確実に動いている。 「やばい、逃げるぞ!」 翔君が叫び、2人は渡り廊下を全速力で駆け抜けた。B校舎の階段を駆け下り、出口にたどり着くと、裏門から外へ飛び出した。2人は後ろの校舎を確認する勇気もなく、そのまま家まで走り続けた。 翌日、翔君とB君は昨夜の出来事を友人たちに話したが、誰も信じてくれなかった。「疲れて幻覚でも見たんだろ」と笑われたが、2人はそれ以上何も言えなかった。ただ、あの黒い影が何だったのか、そして本当に自分たちを見ていたのか、2人には確信が持てなかった。 それ以来、翔君とB君はなるべく一人では最上階の渡り廊下には近づかなかった。 P.S. 『あのコはだぁれ?』の見どころは1作品目の感想にて熱弁しています。 編集者:あの黒い影は多分カーテンが窓の隙間風に揺られていただけなんだろうなあと思っている(信じ込んでいる)トゥルーマン翔

  • たくさんの「いいね」ありがとう!

    275

  • 作成日時:
    2025/03/05 17:08

あのコはだぁれ?

制作年: 
2024年
あのコはだぁれ?

学校という場所は、誰もが人生の中で一度は通る場所だからこそ、学校を舞台にしたホラー映画は妙に親近感がわきます。 今回は、そんな学校を舞台にしたホラー映画、清水崇監督の『あのコはだぁれ?』をご紹介します。 『あのコはだぁれ?』は、夏休みの中学校を舞台に、臨時教師と補習授業を受ける生徒たちが、教室に“いないはずの生徒”による怪奇現象に巻き込まれていく物語です。 臨時教師の君島ほのか(渋谷凪咲)は、補習クラスを担当中、目の前で女子生徒が屋上から飛び降りるという衝撃的な事件を目撃します。その後、補習を受ける生徒たちの中に、本来教室にいないはずの生徒がいることに気づきます。調査を進めるうちに、生徒たちは“あのコ”にまつわる驚愕の事実に辿り着くことになります......。 監督は、あの「呪怨」シリーズや『犬鳴村』でおなじみの清水崇。怖さの演出がすごく巧みで、ホラー映画という王道ジャンルでも新鮮な恐怖を堪能できます。個人的には、開始5分の七尾悠馬(染谷将太)が自販機の下にスライドするシーンが怖面白かったです。 実は、この作品は清水崇監督の『ミンナのウタ』と同じ世界線の物語になっており、『あのコはだぁれ?』は『ミンナのウタ』の続編となる立ち位置です。そのため、今作の中でも『ミンナのウタ』と繋がる内容が多々出てきます。逆に言えば、前作を観ていないと理解しづらい部分もありますので、より今作の内容を理解したいという方は、『ミンナのウタ』から観ることをおすすめします。

あのコはだぁれ?の詳細を見る
この記事がよかったら「いいね」

たくさんの「いいね」ありがとう!

275

あなたが見た作品の記事を書いてみませんか?
友達やSNSにシェアしよう!

(C)2024「あのコはだぁれ?」製作委員会

  • 各作品の感想は個人の意見です。
  • 各作品はページ掲載が終了している可能性もございます。
  • 感想の内容が利用規約に抵触する場合は、削除される可能性もございます。
この記事を報告する