
人生は変わらない。でも少しだけ変われる──『アバウト・ア・ボーイ』の心地よさ
『アバウト・ア・ボーイ』は本当に見事なドラマだと思う。 原作のニック・ホーンビィの才能が爆発しているし、それをヒュー・グラント、トニ・コレット、そしてまだ少年だったニコラス・ホルトが素晴らしく映像化している。今のニコラス・ホルトの活躍を知っていると、「あのマーカスがここまで大きくなったのか」と妙な感慨もある。 この映画のおもしろいところは、ゴールが見えないことだと思う。 普通の映画なら恋愛が成就するとか、夢を叶えるとか、何かしら目指す場所がある。しかし本作はそうではない。どこか変わった人たちの日常を見ているだけなのに、なぜか夢中になってしまう。 それでも不思議と見やすいのは構成の上手さだろう。物語がきちんと区切られながら進むのでテンポが良い。シングルマザーを狙って生きているろくでなしのウィルを見て笑っていると、今度はマーカスという少年が現れる。そして二人の関係ができあがってくると、さらに新しい人間関係が加わっていく。 特にウィルとマーカスの関係性が絶妙だ。 大人と子どもではあるけれど、先生と生徒でも親子でもない。どちらもどこか欠けていて、どちらも少し面倒くさい。そしてその距離感が心地よい。お互いを救おうとしているわけでもないのに、結果的に影響を与え合っている。 そこへレイチェル・ワイズが加わり、物語はさらに転がっていく。そして最後にはまさかのライブで「キリング・ミー・ソフトリー」である。 本当に何なんだこの映画は(笑)。 誰かが大きく成長する話のようにも見えるし、結局はそんなに変わらない話にも見える。でも見終わった後には確実に何かが残る。 人生って劇的に変わることばかりじゃない。少しずつ誰かと関わり、少しずつ考え方が変わり、気づけば前とは違う場所に立っている。本作はそんな現実の変化を描いている気がする。 そして音楽がまた良い。全体に流れる空気感も含めて、とにかくセンスが良い。派手な映画ではないし、大事件も起きない。それなのに何度でも見返したくなる。 『アバウト・ア・ボーイ』は、人間という面倒くさい生き物を愛情たっぷりに描いた作品だ。笑えて、少し切なくて、最後にはなんだか温かい気持ちになる。 こういう映画を観ると、「人生も悪くないな」と思えるのである。
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- 作成日時:
- 2026/06/23 00:14
- 更新日時:
- 2026/06/23 00:15
アバウト・ア・ボーイ
これも見事なドラマだよねぇ。ニック・ホーンビィという作家の才能爆発なお話を、ヒュー・グラント、トニ・コレット、ニコラス・ホルト(今の成長がびっくりだよね!)という才能爆発なキャストがハイセンスなドラマ映画として昇華させている。なによりも、変な人達の日常を描くので、最後にどうなりたいかのゴールの見えないお話の展開なのに、ここまで惹きつけるパワーだよね。ちゃんとパート分けされているので、見やすいんだろうなとは思う。ウィルのシングルマザーを狙ったろくでなし感を楽しんでいると、次はマーカスが出てくる。二人が仲良くなってくると次はレイチェル・ワイズが登場。最後にはライブに出てキリング・ミー・ソフトリーだよ。なんだこの映画は(笑)誰かの何かの成長を見ているようだし、いや何も変わらんってことを見ているようでもある。この不思議な感覚がたまんないよね。音楽も楽しい。
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