
支える手が消えた世界――文明の脆さと自然の再生
人類が完全にいなくなった“その後”の地球で、いったい何が起こるのか――その問いに対して、科学的・社会的な視点から多角的にアプローチしていくドキュメンタリー番組をご紹介。本作は、「このままでは人類が滅びてしまう」と直接的に警鐘を鳴らすことが目的ではない。環境問題や危機意識を直接訴えるのではなく、「人類なき後の地球」という仮定を通して、むしろ今をどう生きるべきかを静かに問いかけてくる作品である。 また日常生活を支えている構造の数々を知る手がかりとなる点も興味深い。普段意識することの少ないインフラや設備の「メンテナンス」の重要性、そしてそれを担う人々の存在への感謝の念も自然と湧いてくる。 両シーズンとも定額見放題の「ヒストリーチャンネル」(月額330円: 14日間の無料トライアル開催中!)に加入すれば視聴可能。 Rakuten TVなら月々のお支払いで楽天ポイントが貯まる&使えるのでお得! 編集担当:お試し係B
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- 作成日時:
- 2025/04/21 16:35
人類滅亡 -LIFE AFTER PEOPLE- シーズン1
- 制作年:
- 2009年

改めて実感させられるのは、現代の社会インフラが、大量の人間による使用を前提に設計されているという事実である。エネルギーをはじめとする供給と消費のバランスが少しでも崩れれば、深刻な事態を招くという現実が明らかになる。 たとえば、第9話で紹介される製油所の事例では、人間の手による原油供給が止まることで、蒸留塔が空焚き状態となり、やがては大爆発に至る危険性があることが示されている。このようなシナリオは、単なる想像を超えた説得力を持って迫ってくる。 また本作は、メンテナンスの重要性についても考えさせられる内容となっている。人が住まなくなった家屋は、想像以上の速さで崩れ、朽ちていく。その一方で、自然――とりわけ植物や動物たちは、人間の不在をものともせず、たくましく生き抜いていく。その姿は、文明と自然の対比を鮮やかに浮かび上がらせる。 人間中心に作られた世界が、いかに脆く、同時に自然がいかにしぶとく力強いかを描く本作は、「人類のいない未来」という仮定を通して、現代社会の構造を見直すきっかけを与えてくれる。
人類滅亡 -LIFE AFTER PEOPLE- シーズン2
- 制作年:
- 2010年

生活の利便性を極限まで追求してきた人類の営みが、人間の不在によっていかに危険な存在へと転じるかを知ることができる。原子炉、浄水装置、鉱山など、人間の生活を支えるために築かれたインフラが、制御する人間を失った瞬間から、破壊と汚染の源へと変貌していく様子は想像通りではあるが、衝撃的だった。 とくに鉱山に関しては、現実にもすでに閉山され、放置された土地が陥没や汚染によって人が住めなくなっている例がある。それが地球全体の規模で起きたとしたら――本作はその想像を、単なる空想に終わらせないリアリティで提示してくる。 利便性の追求がいかに危ういバランスの上に成り立っているかを改めて実感させられる。人間がこれまで犯してきた“うっかりミス”や“無知”による事故は、そのたびに大きな犠牲を出しながらも、少しずつマニュアルやシステムとして蓄積されてきた。まさに「マニュアルは血でできている」という言葉を裏付ける歴史がある。 だが、その“制御”がすべて失われたとき、文明の残骸がもたらすのは、秩序なき暴走。人類不在の地球を舞台に、文明が抱える根本的な脆さと向き合うきっかけを与えてくれる作品となっている。