
映画『敵』主演:長塚京三の過去作と「サントリーオールド」のCMを振り返る。
2025年1月に公開された映画『敵』は『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督の最新作であり、俳優・長塚京三が12年ぶりに主演をつとめた作品。また昨年(2024年)に開催された第37回東京国際映画祭では、東京グランプリをはじめ監督賞、男優賞の3冠を獲得。審査委員長の名優トニー・レオンも絶賛した作品である。 4月中旬には、「Blu-ray 2025年8月6日(水)発売決定!レンタル同日リリース!」の情報が出されたものの、吉田大八監督が何か仕掛けているであろう、このモノクロ映画をなんとか映画館で体感したいと思い、この5月になんとか滑り込みで劇場で鑑賞できた。 『敵』のあらすじはこうである……元大学教授の渡辺儀助(77歳)は、10年前に妻を亡くし、今は古びた日本家屋で暮らす独居老人。贅沢はせず、身辺も整理しつつ、既に遺言書も用意している。時折訪ねてくる教え子や、行きつけのBARで出会った女学生が気になりつつも慎ましやかな生活を送っていたが、ある日、彼のもとに「敵がやって来る」という謎のメッセージが届くーー。 原作の筒井康隆も「傑作」と評した本作は、たしかに吉田大八監督のキャリアの中でも屈指の作品という印象を持った。 そして、最大の魅力は、もう80歳に近い(おそらく撮影当時は78歳か?)長塚京三、その人だった。 ある年代以上の人であれば記憶にある方も多いだろう。「恋は、遠い日の花火ではない」のコピーで有名なサントリーオールドのCM。課長クラスのサラリーマンが、部下の女性から気のあるようなセリフを言われた一コマを切り取り、いい大人なのにも関わらず、街中でピョンと飛び跳ねる一瞬の遊び心が記憶に残る名CMである。 このCMに出演したのが長塚京三。(もう1パターンとして田中裕子のバージョンもある) 映画『敵』鑑賞後、俳優・長塚京三の過去作を振り返りたくなった筆者がおすすめするのは、どちらも1997年公開の2作品。 サントリーオールドのCMの役柄を膨らませたような主人公の『恋と花火と観覧車』と、また同CMのクリエイターである市川準(『トキワ荘の青春』)が監督した『東京夜曲』である。 映画『敵』では、老人の役では確かに齢を重ねてはいるものの、エレガントな佇まいとミステリアスな眼差しは健在だった。 ご紹介する2作品の劇場公開時は51歳(撮影時は50歳だろう)まさに男盛りな時代の長塚京三を堪能できる作品だった。 ■おすすめしている作品 ????『恋と花火と観覧車』(監督:砂本量|1997年公開)→「サントリーオールド」で長塚京三が演じた男性の役柄をイメージした役柄とか? ????『東京夜曲』(監督:市川準|1997年公開)→「サントリーオールド」のCMクリエイター・市川準との縁で出演。 編集担当:Koji
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- 作成日時:
- 2025/05/21 09:43
- 更新日時:
- 2025/08/20 17:51
恋と花火と観覧車
- 制作年:
- 1997年
妻を病気で亡くして8年、森原邦彦(長塚京三)は娘のひとみ(酒井美紀)と静かに暮らす。 ある日、娘が無理やりに申し込んだ「結婚情報サービス」のパーティに参加した邦彦は、取引先の社員・野々村史華(松嶋菜々子)と出会うことになる。 結婚相談所(本作では「結婚相談所ではなく結婚情報サービスです」と訂正されるまでがセットだった)で出会う男女たちが繰り広げる大人のラブコメディ。サントリーオールドの長塚京三そのままの存在感もさることながら、同じく結婚相手を探している生瀬勝久と深浦加奈子の存在が映画を盛り上げる。特に、今は亡き深浦加奈子のコメディエンヌとしての力量が発揮されているのも見どころ。
東京夜曲
- 制作年:
- 1997年
東京の下町。過去に家族を残して姿を消した浜中康一(長塚京三)が突然帰ってくる。浜中の妻の久子(倍賞美津子)は、何事もなかったかのように彼を迎えるものの、商店街にある喫茶店「大沢」では、人々が浜中の過去を噂していた。 久子に秘かに想いを寄せる朝倉(上川隆也)も、過去を知る人々に浜中と久子の馴れ初めを聞いていた。その中で喫茶店の女店主のたみ(桃井かおり)は、浜中のことが気になっていたーー。 過去の恋愛や未練、そして再生というテーマを静かに描いた作品。下町情緒を美しく切り取った撮影と、優しく流れるメインテーマが記憶に残ります。しっとりした雰囲気のなかで、決してセリフは多くないものの、桃井かおりの存在が際立つ大人の作品、おすすめです。









