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安田顕×水上恒司インタビュー:『連続ドラマW 怪物』で人間の“狂気”に迫る

安田顕×水上恒司インタビュー:『連続ドラマW 怪物』で人間の“狂気”に迫る

2025年6月27日にRエンタメディアで公開された記事の転載です。 【元記事】 https://news.tv.rakuten.co.jp/2025/06/int-kaibutsu.html ---------------- 安田顕・水上恒司のW主演による『連続ドラマW 怪物』(WOWOW)が7月6日(日)からスタートする。日本でも大ヒットした韓国サスペンスドラマ『怪物』をリメイクした本作で初共演をはたす二人。ドラマや映画などさまざまな作品で屈指の存在感と無二の輝きを放つ彼らが渾身の芝居をぶつけ合うことで、いったいどんな化学反応が起きるのか? 興味が尽きない二人に話を聞いた。 (文・中村裕一、撮影・中川容邦)

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  • 作成日時:
    2025/07/10 16:57

怪物

制作年: 
2024年
怪物

ーーまずは今回、初共演となるお二人ですが、共演する前に抱いてたイメージと、実際に芝居を交わして感じたことを聞かせてください。 安田:水上くんとは実は一度、別の現場でちらっとお会いしたことがあったんです。そのときにはもうこの『怪物』に出ることは決まっていたのですが、「よろしくお願いします」と、すごい丁寧に挨拶してくれて。好青年だなという印象を抱きました。 いざ現場に入ったら、非常に寡黙で、役に入っていらっしゃるのかな? とかいろいろ考えました。でもあるとき、ファミレスで一緒に朝飯を食べたのですが、そこには最初に会ったときのピュアな水上くんがいて、いろんな話をしてくれたのを覚えています。 ーーどんな話をしたんですか? 安田:彼は本を読むことが好きで、どんな本読んだの? 今は何読んでんの? とか。彼ってすごく真っ直ぐで、貪欲なんです。とにかく吸収したい、自分はこれからどんどん成長していくんだ、という意志をはっきりと持っていて、今回、一緒にお芝居をして、役者という仕事が好きな人なんだろうなって思いました。 ーー水上さんはいかがですか。 水上:僕はやっぱり安田さんといえば『水曜どうでしょう』ですけど、僕にとって、この人のお芝居、この人の人間性すげえなって思う人に必ず共通するのが、“底”が見えない、ということ。 「底が見えてる」って思ってる人がいたとしても、本当は見えてないんですよ。なぜならそんなこと知り得るわけがないから。まずそこが大前提としてある。安田さんはご一緒する前から見えない方であったことはもちろんですが、ご一緒してなお、より底が見えないなと思いました。 なんて言うんでしょう…もうホントに僕いち個人の話ですけど、興味を持って人間を探ろうとすればするほど、人間って底が見えない。でも、見えないっていう前提があるからこそ、少しでも見えたときの嬉しさっていうものはありましたね。 ーーそれは具体的にどういうことでしょう。 水上:先ほど安田さんが、カメラではなく自分の目で見た水上くんの芝居が、という風におっしゃってくださったんですけど、それは僕もまったく同じで、僕にしか見えない、僕だけのアングルでしか見えない安田さんを捉えることがいくつかありました。みなさんにそれをぜひお話したいと思う反面、僕だけのものだよ、っていう気持ちもある(笑)。3ヶ月間っていう短い時間でご一緒することによって、安田さんを見て、自分をもっと広げないといけないなと思ったというか、自分を開いてくださったっていうのが、すごく嬉しいですね。 なかなかそういった人っていないですし。相性の話でもありますから。そういった自分を開けられるような方と、しかもこうやってがっつりお芝居させていただくことができたっていうのが何よりですね。 安田:すごい嬉しいことを言ってくれますね。水上くんも自分にしかできない八代真人という役を追求したなと思います。 ーー『怪物』というタイトルについてですが、ストーリーや展開を通じ、人の心の奥に潜む狂気や、容易に人は怪物になり得る、というような深く重いテーマ性を感じました。 安田:私たち全員が“怪物”になり得ると思いますし、誰か1人を“怪物”にさせることもできる。社会や組織っていうのは。怪物自体が怖いんじゃなく、むしろ怪物を生み出そうとする人たちが怖い。 私はあなたとは違う常識を持っています、あなたの考え方は異質です、そういう人たちは孤独でいいんです、孤独になりなさい…そういったなかから怪物は生まれ、もっともっと怪物になっていくでしょうね。怪物自体に対する怖さというよりも、怪物を生み出そうとすることの怖さを私は感じます。 ーーなるほど。 安田:じゃあどうすれば怪物が生まれなくなるか?難しいと思います。人は社会を築いて生活していかないといけない。でも、そこに怪物が生まれない理由は絶対にない。全員が手と手を取り合って生きていくことを理想とはするけれども、じゃあこうしたらいいんだよね? という、答えがなかなか出てこない。 ーー非常に難しいですね…。 安田:そのなかで自分は生きているんだ、というような考え方を、僕は今なんとなくこう、みなさんと会話しながら感じてます。 ーー水上さんはどういうお考えをお持ちですか? 水上:“狂気”はコントロールするしかないですよね。今、安田さんがおっしゃったように、システムや社会の環境としてコントロールするしかないですし、それを0にすることは僕も無理だと思います。 それはもう本当に無理な話であって、個人個人で見たとしても絶対に狂気はあると思うんですよ。だからこそ『怪物』のような作品が面白いと思えるのではないかと。だからといって、これを見習えっていうことではないですし、そこはやはり悪というか怪物を社会に生まれさせないために、教育だったり概念だったりいろいろなものがあると思っていて。 ーー自分自身も容易に持ちえるであろう“怪物”を制御し、共存していくしかないと。 水上:すごく個人的な話をしますけど、役者としてはやっぱりその、魔物のような、怪物のようなものは絶対に(内面に)あるべきだと思います。それがない役者は僕は見たくないです。 でも、それは実生活で犯罪を犯してもいい、というのではまったくなくて、コントロールしなさい、そうじゃないと芝居でも表現できないでしょう? と僕は思います。社会もそうだし、他の人もそうだし、自分の中の怪物との向き合い方、じゃないかなと思いますけどね。 安田:僕らに必要なのはやっぱり“熱量”であって。 われわれ俳優はいろんな役をやらなきゃいけない。そのときに参考にするべきものが“熱量”です。その中の1つとして“狂気性”というものはあるかもしれません。

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ルパン三世 カリオストロの城

制作年: 
1979年
ルパン三世 カリオストロの城

ーーところで話は変わりますが、お二人がオススメするエンタメ作品をぜひ教えてください。 安田:僕は、ホントに勉強不足で。やっぱり自分が子どもの頃に見た映画っていうのが印象に残っているんですよ。『E.T.』『ロッキー』『ルパン三世 カリオストロの城』。だって無条件に自転車が空を飛んだら(※『E.T.』の有名なシーンの一つ)嬉しいじゃないですか。 水上:壁を見たらもう走りたい(※『ルパン三世 カリオストロの城』冒頭のカーチェイス)ですよね(笑)。 安田:そうそうそう。自転車が空を飛ぶシーンにジョン・ウィリアムズの曲が流れたら最高だし、名作には絶対、名曲がある。シルベスター・スタローンがリングで戦ってる時に「ロッキーのテーマ」が流れなかったらがっかりですよ。 ーー安田さんにとって映像と音楽は密接な結びつきがあると。 安田:そうですね。あと僕らの子どもの頃はビデオじゃなくて「実況盤」(※オリジナルサウンドトラックに加え、キャラクターのセリフなど本編の音声が収録されたもの)という、映画の音声や効果音が収録されたLPレコードがあったんですよ。 水上:え!? そうなんですか? 安田:この間、お客さんがいないときによく行くバーに『カリオストロの城』のLPがあって、それを聴いていたら、全部のシーンとセリフがすぐ頭に浮かんでくるんですよ。(銭形警部の声真似をしながら)「奴はとんでもないものを盗んでゆきました。あなたの心です」とか。 ーー超有名なラストシーンのセリフですね。 安田:(すべて声真似しながら)「無益な殺生はせん」(五右衛門)、「撃ちます」(ジョドー)、「なんて気持ちのいい連中だろう」(庭師)、「あー、ルパンを追っていてとんでもないものを見つけてしまったー。どうしよう」(銭形)。全部浮かぶ。画(え)も浮かぶ。 水上:すげえ…(感嘆のまなざし)。 安田:そのとき、お客さんがもう1人いらっしゃって、僕と同じぐらいで50代の方でしたけど、ポンと音が聞こえただけで、スッと互いに見合って、そのあとのセリフを同時に言った。そんなことが起こる作品を原体験として持っていることがすごい嬉しいですね。

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七人の侍

制作年: 
1954年

ーーそのほかにはいかがでしょう? 安田:『七人の侍』。うち(北海道)は田舎だったから、単館上映のロードショー作品とか全然来なかったもんだからさ(笑)。 水上:『七人の侍』ってなんであんなに面白いんですか。僕、この間、初めて観たんですよ。 安田:うんうん。 水上:アクションシーンで馬をああいう風に扱ったり、役者があれだけ馬に乗れたりするっていうこともすごいですし。三船敏郎さん(菊千代役)が手にする竹光も、めちゃめちゃ軽そうに見えるし、今ああいう芝居をしていたら「もっと重そうに持て」とか言われそうじゃないですか。 安田:そうだね。 水上:僕、三船さんがああいうキャラクターを演じられると思ってなかったんですよ。もっと寡黙でめちゃめちゃかっこいい、もうそれこそ(ルパンの)五右衛門のような役だと思ってたんですけど、ところがどっこい、こういう男なのかって。 安田:そうなんだよね。(おもむろに)♪チャンチャンチャチャ〜ンチャチャン チャンチャカチャ〜ン、って、曲もすぐでてくる(笑)。 水上:あと、志村喬さん(勘兵衛役)。あの方もすごいですよね。僕、『七人の侍』を見て『生きる』も観ました。 安田:僕が聞いた噂では、全編引きで本物の戦をやらして、矢が刺さったままでも撮影を続けたっていう。本当なのかどうなのかわからないけど。あと、雨が墨汁だったとかね。さっきは熱量の話をしたけど、作り手、クリエイターにとって一番必要なものってのは、やっぱり“思想”だと思うんだ。 水上:はい。 安田:三船さん演じる菊千代は本当は侍ではなく、百姓の出なんだよね。刀を持って武士のフリをしている。で、勘兵衛たち本物の侍の前で、百姓あがりの自分の中のトラウマとか曖昧さをさらけ出して必死になって「百姓ってのはな! ケチンボでずるくて泣き虫で、意地悪で、間抜けで、人殺しだ! だがな、そんなケダモノつくりやがったのはいったい誰だ! おめえたちだよ!」と叫ぶ。あそこはもう素晴らしい名シーンですよ。 そしてすべての戦いが終わったときに、志村喬さんが言う「勝ったのはあの百姓たちだ。わしたちではない」というあのセリフ。思想の見事さ、脚本の作り方、あれがやっぱり、うん、「作品」ですよ。全部喋っちゃったな。ごめん(笑)。

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インターステラー

制作年: 
2014年

ーーでは、水上さんのオススメするエンタメ作品は何でしょうか? 水上:高校のとき、卒業間際でもう授業も特にないっていうある日、じゃあ映画見よっかって理系の先生が言ってくれて、授業中に映画を観たことがあって。僕らは授業サボれるから喜んだんですけど、そこで見たのがクリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』でした。 それで僕、クリストファー・ノーランが好きになったんですけど、僕個人的に『オッペンハイマー』より『インターステラー』の方が人間の“ノイズ”みたいなものを感じられるんですよ。 安田:うん。 水上:『オッペンハイマー』も確かに見事だったんですが、僕は人間の“ノイズ”のようなものを『オッペンハイマー』からはあまり感じられなかった。あくまで僕は、ですけど。僕も芝居でセリフがうまく言えないときがあったりしますけど、思いがしっかり込められていれば、何かしらの不完全さがあったとしても、僕はそういったものを感じたいし、楽しみたいし、受け入れたい。その意味で『インターステラー』のほうが好きですね。

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怪物

制作年: 
2021年

シン・ハギュン、ヨ・ジングが出演する韓国オリジナル版はこちら!

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(C)2023「怪物」製作委員会原作:モンキー・パンチ (C)TMS©1954 TOHO CO. , LTD. ALL RIGHTS RESERVED.© Warner Bros. Entertainment Inc.(C) JTBC Studios Co., Ltd. all rights reserved.

出典
*1 Rakuten TV (https://im.akimg.tv.rakuten.co.jp/content/70/25/140752/jacket_h_l.jpg) 取得日:2026/1/7
*2 IMDb (https://www.imdb.com/title/tt0816692/) 取得日:2026/3/10
*3 Rakuten TV (https://tv.rakuten.co.jp/content/423707/) 取得日:2026/1/26

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